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食べ物を手に入れに

炊飯器は、中がどうなっているのか恐ろしくて開けられないから、フライパンで米を炊いたら、芯がしっかりした、くそまずいご飯ができて、

仕方ないから実家が送ってくれたココナッツカレーとやらのペーストと水を入れて煮込んだら、この世のものとは思えない本当にまずい物体ができ、

腹が膨れるまで食べた後キッチンに放置、そしたらカラフルなカビがたくさ…う、文字にしたくもない。

ちなみに鍋はとうの昔に食材をカビさせてダメにした。

 

てことで、お金が全くないから、近所のスーパーか100均で値段を比べてカップラーメンを買っている。

備蓄が切れたので、カップラーメンを仕入れに夜の住宅街を歩いていたら、

お風呂場の反響が効いたはしゃぐ少年の声とともに、あたりに、家族共用っぽいシャンプーの香りが漂った。

「植物物語」とか「メリット」って感じの、性別不問なイメージのやつ。って植物物語って今でも売ってるのか分からないけど。間違っても「マシェリ」じゃないな、って感じ。

 

カーテンが開け放たれてその家庭の生活が丸見えになっちゃってるようなキッチンが見えたり、さっき書いたみたいな家族の生活が漂ったりするの、ダメな人もいると思うけど、わたしは実はそういう瞬間が好き。

わたしには絶対に手に入らないし、手に入れたとしてもすぐに台無しにしそうな、家族の生活の雰囲気を少し知った気持ちになるのが好き。

そりゃまあ、各家庭、外から見たらちゃんとしてるように見えても、お風呂ではしゃぐ少年の年上の兄は引きこもりで昼間は母親を殴っていてとか、悲惨な問題を抱えているかもしれないけど、

台所に面した窓の下を歩いたら味噌汁の匂いがしたとか、シャンプーが「メリット」っぽいとか、部外者のわたしにはその程度しか分からないから、不幸な家庭がわたしに助けを求めない限りは、わたし、自分には成し遂げられないなにかに無責任に思いを馳せていたい。

 

今日は100均のローソンで買い物をした。わたしの家の近くのスーパーは、僻地にあるせいか日によってものすごく物価が高いのだ。おまえはクイーンズイセタンか…

 

今夜食べるカップラーメンと、明日のカップラーメンを買い、惣菜コーナーで海藻サラダが二十円引きだったから、少しでも野菜を摂取しようとそれもカゴに入れ、

今夜は泥酔して潰れ、明日なんか永遠に来なけりゃいい、あたしはててなし子を孕んでんかもしれないんだ、とお酒コーナーに行ったけど、

わたし、確定はしてないが妊娠してるかもしれないし、酒はまずいよなあ、とお酒には手を伸ばさなかった。

 

しかし、相手が妊娠を望むわけもないし、わたしは発達障害発達障害は高い確率で遺伝するのだ。わたしは子どもは持たないし産めない。

もし妊娠していたら、取るべき選択は1つしかないのに、わたしは何故お酒を諦めたのか…

 

はじめて妊娠したときは、わたし、まだ発達障害の診断は受けていなかったけど、薬をたくさん飲んでいたし、服薬しているのを知りながら、わたしが弱く抵抗してもきちんと避妊しない男の子どもを産むつもりはなくて、

この時期に避妊せずセックスしたってことは…と妊娠検査薬で妊娠しているかどうか判断できる時期まで憂鬱ではあったけど、絶対に出産しないと迷いはなかったから、

最後のセックスのあと、次の生理予定日までの間に親戚の法事があったけど、お酒を避けるどころかいつも以上に飲んだ。身ごもっていても産まない子どもなんか、ってやけだった。

 

生理予定日に生理は来なくて死にたくなったけど、その後1週間待って検査薬を使ったら、陽性反応が出て、わたしの予想の精度は高い、と一瞬思ったけど、すぐに産婦人科に予約を入れた。

内診のあと見た写真には小さい穴みたいのが写っていて、医師が「これは赤ちゃんが育つためのなんとかで…」と話していた。

わたしが顔面蒼白だったせいか、医師は申し訳なさそうに説明していた。

わたしが服薬している薬を確かめ、胎児の口蓋裂リスクが高くなる薬と、仮に無事出産しても高確率で仮死状態で子どもが生まれてくる、詳細は総合病院の専門家に問い合わせましたから、とのことだった。

仮死状態だと、脳に酸素がいかないよかあ、まあ、わたしはもう心を決めてるからいいけど、と思った。

医師が出産する気持ちはあるか聞いてきた時だけすごく迷ったけど、わたしは子どもはこの世の空気に触れた瞬間人権を持つと思うことにしよう、と決め、

心にもなく、避妊に失敗しておいてこのようなお願いは申し訳ないのですがと堕胎の決心を医師に告げた。

あの医師は防衛大学出身で、マッチョな浅黒い肌の中年って感じで、いやそれはあなたの選択だから謝らなくても大丈夫ですよ、では今後は…

と手術についての説明に入った。事務的だったから助かった。

医師いわく、きちんと処理しなければならないとのことで、妊娠確定から手術まで数週間待った。妊娠の期間で言うと8週間か。よく妊娠時期の計算を間違える方がいるけど、妊娠した時期は着床時を指すため、生理が予定通り来なくなった日のことではない。

わたしは手術の前に酷いつわりに悩まされた。あのことをまた繰り返すんだろうか?

 

わたしに選択肢がないのは、わたし1人で子どもを、その子どもが自立するまで育てる経済力がないのと、育児をするにはわたし、精神面で問題があり過ぎるのと、一番の理由は発達障害が遺伝するのが怖いからだ。今回父親となる人間はもう確定している。何故かと言うとわたしはその人としか近々にはしていないし、その人はきちんと避妊しなかった。

彼は開業医並みに裕福だけど、わたしと生まれてくる子どもに何もできないはずだ。その裕福さは全て、彼の娘を祝福するために使われるから。

 

発達障害当事者の方が子を成すことについては、わたしはなんの意見も持たない。療育次第では、発達障害が遺伝した子どもであっても、幸せな人生を掴むことができるはずだ。

だけどそれには、たっぷりの愛情と教育と、周囲のサポートが必要だと思う。

 

わたしは、愛情を知らないからたぶん子どもに愛情を与えられない。

 

選択肢はわたしにはない、1つだけだ。なら、今日泥酔するべきだったかな。

 

追伸

ブコメありがとうございます